こんにちは、id:numanuma08です。コベリンには「ワクワク給付金」という制度があり、年に何回か新しいガジェットなんかを買うための補助金ができます。
制度の紹介はこちら。
最近のid:takkumattsuのレポートはこちら。
今回は、私のワクワク給付金の使いみちをレポートします。
憧れの仕事へのワクワク
憧れの職業ってありますか?もしくは、ありましたか?幼稚園とか小学生のころにアンケートみたいな物で答えた経験がある人は多いのではないでしょうか。昔なら野球選手とかサッカー選手などが上位を占めていたようなイメージがありますが、最近はYoutuberやeスポーツプレイヤーなどが上位に来ているようですね。
私の場合憧れの職業はパイロットでした。基本的に船とか電車とか飛行機など乗りものが好きで、それらを自分の意志で操縦したいという強い憧れがありました。高校生くらいになってプログラミングに触れ始めるとプログラマまたはパイロットみたいなブレが発生し、最終的に英語の学習が全然できなくてパイロットになれなかった・・・という経緯もありますが、今でも憧れの仕事です。
そんな憧れのパイロットになる方法、それがフライトシミュレーターです。
2021年のフライトシミュレーター
実は大学生のときにフライトシミュレーターでけっこう遊んでいました。しかし、あの頃と今では全然環境が違います。
2020年にMSFSの最新作が15年ぶりに発売されて、ゲーム実況動画配信だけでなく現職のパイロットやパイロットOB、航空業界関係者の人たちがプレイ動画の配信を開始。一気にフライトしミューレーター関連の情報の発信が加速した感があります。
大学生の時もFSXで飛んでたけど、あのころは適当にやってただけだった。今は本物のパイロットの人の解説動画なんかがYoutubeにあるからかなり敷居が下がったなぁ...
— ぬま (@numa08) 2021年9月19日
昔を懐かしむツイート
残念ながら私はWindowsマシンは持っていないので、もっぱらX-plane 11で飛んでいます。MSFSもやりたいのですがマシンを用意するのが大変ですからね。ちなみに私が購入したのはSteam版ではなく公式サイトで配布されているバージョンです。
ワクワク給付金の使いみち
今まではDualshock 4で操作をしていましたが流石に辛いのでワクワク給付金を使ってジョイスティックとスラストコントローラーを買いました。
A320エディションということでスラストコントローラーにはデフォルトでステップがついていますが本体裏の面についているパーツの向きを切り替えることでステップを無くすこともできます。最近はずっとB737-800でフライトしているのでステップは無効にしています。若干スロットレバーを保持する力が弱いので、オートスロットル中にスロットルが動いてオートスロットルが意図せず解除されることもありますが、基本的に満足できる出来栄えの商品です。
バーチャルパイロットの1日
ここからはフライトシミュレーターの中でパイロット業務をこなすある日のスケジュールを紹介します。
バーチャルエアラインパイロットの朝はそんなに早くありません。コベリンの中では保育園の送り迎えがある関係で比較的速い方ですが、それでも常識的な時間に起床します。
その後、朝食やら保育園への登園やらを済ませてコベリンの業務を開始すると同時にバーチャルエアラインパイロットとしての生活が始まります。バーチャルエアラインパイロットはその日の気分に応じて定期運送用操縦士だったりチャーター便のパイロットだったり、あるいは戦闘機や爆撃機の操縦士になります。私はどちらかというと旅客機のパイロットでありたいと思っているので、実際に航空会社が就航している航路を再現したり、あるいは土地勘のあるエリアを結ぶ架空路線を飛びます。業務中に今日はどこを飛ぼうかな、どこへ行こうかなと考えます。サンプルとして今日は北海道の新千歳空港から福島県の福島空港へフライトします。
フライトプランの作成
航路が決まったら次はプランを考えます。フライトプラン作成にはSimBriefを使います。
SimBriefは出発空港と到着空港、仕様する機材などを入力すると自動的に必要となる燃料や巡航高度の計算、通過するウェイポイントなどを出力するサービスです。この日は新千歳空港(RJCC)から福島空港(RJSF)へB737-800でフライトするプランを作りました。出来上がったプランの一部が以下です。
RJCCからRJSFへのフライトで使用する燃料は6957kg、航行中の風向きと風速の平均は226度方向から43ノット、燃料の効率であるコスト・インデックスは42などの情報が記載されています。このPDFは最初のページですが、これ以降のページには高度は22,000フィート、通過するウェイポイントはJUGGL1 PANSY Y10 HPE V33 SDE Y102 HERON WAKAHNであるなどの情報が書かれていて全部で111ページありました。正直私も全部のページの読み方は分かっていないので、最初の3〜5ページくらいしか見てません。
フライトプランを作成したらローカルマシンにダウンロードして、Little Navmapで開きます。
Little navmapは無料で使えるフライトプラン作成、閲覧、編集用OSSです。Simbriefで作成したフライトプランにLittle Navmapで最後の手直しをします。具体的には出発してから予定航路に乗るまでのSID、予定航路から到着空港に着陸するためのルートであるSTARおよびApproachを設定します。これらを設定すると次の図のような航路が出来上がります。
ちなみに現実のエアラインではSIDやSTARは管制官からの指示を受けて設定しますが、これはバーチャルエアラインなのでフライトプラン作成時にSIDやSTARを決定します。現実と違う部分ですが、しょうが無いですね。次にLittle navmapで作成したフライトプランをX-plane用に出力し、SIDやSTAR、Approachのチャートを確認するためNavigraph chartを使って表示します。
チャートではSIDやSTARで通るルートや高度の情報、無線施設の情報が図や表で書かれています。Navigraph chartは有料のサービスで、課金していればアプリ上から簡単にPDFでチャートを確認できますが、日本の空港に限定するなら国土交通省によって運営されているAIS JAPANからチャートを閲覧できます。
今回の新千歳空港から出発するSIDのチャートは以下です。
Navigraph chartより引用
新千歳空港の19番滑走路を離陸後、東北方向へ進んでターン。このとき高度制限は4,500ft。千歳VORを超えてからは北西方向へ抜けますがこのときの高度制限が5,500ftとのことです。千歳VORの管制圏を超えるとこの高度制限は撤廃されます。次に着陸する福島空港のSTARのチャートです。
Navigraph chartより引用
HERONからSTARが始まり、南下。ADTRAで西方向へ向きSOUMAでApproachに切り替わります。SOUMAでの高度は4,600ftを指定されています。最後に福島空港のApproachですが、なぜかNavigraph chartの物は古かったのでAIS Japanより引用します。
https://aisjapan.mlit.go.jp/html/AIP/html/20210909/frame/index-en-JP.html#efct=20210909
SOUMAに4,600ftで侵入したあと高度を落としABKMAで3,000ftでグライドスロープに乗り3度パス、つまり地面から3度の角度で降下して着陸します。
このあたりを確認して、本業であるコベリンの仕事や保育園へのお迎え、夕食や寝かしつけを終わらせてからX-planeを起動します。
X-planeを起動
新千歳空港のゲートからスタートします。当然、機体に電源などは入っていない状態です。
オーバーヘッドパネルのバッテリーボタンをON。タブレットから地上電源車を呼び出して地上電源モードに切り替えます。とりあえずこれで機体の電源が入って色々操作ができる状態となりました。
次に付属のタブレットで積載燃料や乗員の情報を入力します。ちなみにこのとき、Simbriefで計算した燃料の単位はキログラムでしたがタブレットの単位はポンドなのに気がついていません。これが原因で大惨事になりました。
この後、APUの起動など手順もありますがそこについては説明を省略してCDUにデータを入力します。入力するデータは色々ありますが、先程作成したルートを入力します。
機体や燃料の重量、エンジン推力の設定などを入力して離陸に必要なV1、VR、V2と呼ばれる速度を計算します。
CDUの情報とチャートに書かれた情報を自動操縦装置に入力します。
で、めちゃくちゃ大切な空調関連の設定をします。巡航高度を入力してエアコンを有効にします。これを忘れると飛行中に気圧が低下し、ブラックアウトしてしまい操作不能に陥ります。
もろもろの準備が完了したらプッシュバックをリクエストし、プッシュバックを行います。
プッシュバック中にエンジンをスタートします。ここでようやくスロットルコントローラーを使います。燃料注入レバーをスイッチに割り当てているので、エンジンスタート手順を完了したらスイッチを上げます。
銀色のスイッチのうち、右側エンジンがスタートしたのでONにしています。誘導路をタキシングして滑走路に到着。いよいよ離陸です。
スラスター出力を40%へ。問題なければTOGAボタンを押してオートスロットルで離陸速度を目指します。V1を超え、VRに到達したら機首を引き上げて離陸します。
離陸後、STARに沿って運行し高度を上げていきます。高度制限地域を超えたら巡航高度を目指します。
上昇中は速度に気を配って、失速などが内容に自動操縦を調整していきます。しばらくすると巡航高度に達するので、巡航を開始します。
巡航中の過ごし方
一言でいうと、巡航中は暇です。すべての操作は自動操縦が行うためコントローラーを操作する必要はありません。雲の様子や気温をみてアンチアイスを起動する必要はありますが、レーダーを事前に有効化しておけばいつごろアンチアイスを使えばいいのかだいたいわかります。フライトシミュレーターの面白いところで、2時間のフライトには実際に2時間必要となります。シミュレーション速度を上げる方法はありますが、うかつに使うとバグります。途中停止もできません。2時間なら2時間使う必要があります。
新千歳から福島空港の場合、巡航時間は1時間かそこらなので適当に時間をつぶす必要があります。私はこのとき本を読んだり、Youtubeで動画を見て過ごします。じっさいに飛行機に乗っているみたいですね。
ちなみに、先程のLittle NavmapではX-planeで飛行中の場所を表示できるので、あとどれくらいで降下や着陸が行われるかわかります。
ちなみに、CDUには降下開始地点までの距離と降下開始予定時間が表示されるので、それを見ていつごろ操作を再開するか予定を建てます。今回だと、124マイル後、世界標準時6:54くらいに降下を開始するので100マイルくらい手前になったら操作を再開します。
釜石の上空を飛行しています。雲がなければ画面奥にリアス式海岸が見えたと思いますが、生憎の天気です。シミュレーターなので当然雲の操作もできますが、割と私はリアルな天気でフライトをします。
降下開始、そして墜落
降下地点の到達したら降下開始です。今回、いい感じに対気速度と降下速度が落ちなかったので、自動操縦の数値を自分で調整して降下していますが、本当はCUDに入力したデータから勝手に降下速度やスピードの調整が行われます。
滑走路に向けて旋回。滑走路への着陸をサポートするローカライザーをキャプチャし、グライドスロープのキャプチャを待機状態にします。
ちなみにこの後滑走路へ近づいたら自動操縦を終了。続いてオートスロットルを終了するのですが、今回は墜落してしまいました。
いちおう実在の航空会社のペイントを使っているので、キャプチャは控えます。
事故の真実と真相
着陸に向けて順調に高度と速度を落としていたこの機体は、滑走路手前南3マイル地点で失速。高度を維持できないまま田園地帯に墜落しました。フライトレコーダーの解析で墜落の直前、何が起こっていたのか判明しました。
機体は降下中、翼についているフラップを最大の40度まで展開していました。フラップを展開することで低速時でも揚力を得ることができ、着陸前の減速に備えられます。しかし機体は高度を下げつつ125ノットまで減速。滑走路手前3.5マイル地点で自動操縦が解除されたのですがそのまま失速。スロットルを操作して速度の復帰を図った痕跡はありましたが間に合わず墜落してしまいました。
いったいなぜ、失速する速度までスピードを落としたのか。その鍵は出発前にありました。
こちらの画像を御覧ください。これは機体の燃料を設定する画面です。機体の燃料は、6,950ポンド入っています。ここでフライト前に作成されたフライトプランを見てみましょう。
フライトプランで想定された燃料は6,957キログラム。そう単位の間違いでした。ここから先はフライトレコーダーの記録から全てが明らかになりました。
巡航中、燃料計が警告を発していることに気がついた機長は燃料給油設定の誤りに気が付きました。すぐにフライトシミュレーターの設定から燃料を追加。この操作によって機体重量が大幅に増加しました。降下前、着陸時の速度計算をしますがこの速度は機体重量が一つの変数になります。しかし、この計算に使う機体重量に燃料追加後の設定は入力されていませんでした。機長はそれに気づかず、着陸速度を計算。その結果、速度に対して機体重量が重すぎたため失速し、墜落しました。
この事故を受けて、今後の燃料単位はキログラムの利用をより強く促進するとともにフライトプラン作成ツールや燃料設定ツールの単位設定をキログラムにして保存しておく措置が取られました。
まとめ
ワクワク給付金を使ってフライトシミュレーターの環境を整えたこと、私のフライトシミュレーターのプレイスタイルを紹介しました。また操作中の様子や事故が発生したときの振り返りを行いました。
私の操縦や知識についてはまだまだなので、今後も学習を継続したいです。操縦技術の習得と、さらにそこからフライトシミュレーター上で管制官とのやり取りをMMO的に行うVATSIMにも挑戦してみたいですね。