feather for Mastodon のユーザーコミュニティと Discord の活用

今年の1月、feather for Twitter は突然終了することになりました。

そこで以前から要望があったMastodon版の feather (feather for Mastodon)の開発に踏み切りました。

feather for Mastodon は、リリース前からDiscordを活用し、ユーザーとのコミュニケーションを取りながら迅速に開発を進めてきました。今回は技術的な内容ではなく、ユーザーとの関わりとDiscordの活用方法に焦点を当てて述べたいと思います。

feather for Twitter 終了前〜feather for Mastodon 開発決定

昨年(2022年)の11月頃、偶然にもコベリンの新規事業開発のためにユーザーとコミュニケーションを取る窓口として「コベリン実験室」という名のDiscordサーバーを設立しました(興味があればぜひ参加してみてください)。

discord.gg

この時は、covellineメンバーが思いついた新規事業のアイデア投稿や、featherのサポーター向けの面白機能を増やすためのアンケートを実施していました。

この時にDiscordを整備しておいたおかげで、その後の迅速なコミュニティ立ち上げに繋がりました。

そして2023年1月14日、Twitter APIが突然使用できなくなり、feather for Twitterはサービスを終了しました。無料版はまだ使用可能でしたが、有料版から無料版への設定移行や有料版のみの機能の開放などの対応を行った後、無料版も使用不可能になりました。

TwitterのAPIの新プランが発表されるまでは今後の方針を決めかねていましたが、個人的にはこの時点でfeather for Twitterの終了を感じていました。

様々な話し合いを経て、feather for Mastodon の開発に着手することにしました。

feather for Mastodonの開発は2023年3月9日に開始されました(懐かしいですね)。

実際に開発やcovelline.socialの準備は1月の後半から始まっていましたが、正式な発表は準備が整ってから行われたため、この日になりました。

https://discord.com/channels/1043041103194108014/1083286252880662548

Twitter などでも告知を行い沢山のユーザーがサーバーに参加していただきました。ありがとうございます。

Discord の活用方法

feather for Mastodonの開発において、「告知やユーザーとのコミュニケーションはどう行うか?」という問題がありました。

TwitterであればTwitter上のアカウントを通じて行えますが、Mastodonは検索が弱かったり、フォロー関係がないと投稿がサーバーにリレーされないなど、アナウンスやコミュニケーションに不向きな特性があります。これは我々、新規参入者にとって大きな課題でした。

そこで選ばれたのがDiscordです。Discordには以下の利点がありました。

  • すでにDiscordサーバーを持っていたので速やかに開始できる
  • チャットツールであるため密なコミュニケーションが可能
  • 参加者をモチベーションやリテラシーのある人に限定できる※

※Discordに参加する必要があるというデメリットもありますが、こちらのメリットの方が上回りました。Discordに参加するワンクッションのおかげで、意図が正しく伝わったユーザーに集まっていただくことに成功しました。

Discord は主に以下の目的で使用しました。

  • 機能の優先度の決定
  • ベータテスターの募集
  • バグ報告などのフィードバック

それぞれ詳しく紹介します。

機能の優先度の決定

feather for Twitterは様々な利用シーンに対応したクライアントであり、多くの機能を有していました。しかし、私たちはMastodonを日常的に使用しておらず、ユーザーがどのように使っているかの知識が不足していました。

そこで、どの機能を優先して実装すべきかを決定するためにユーザーから意見を募りました。

これはDiscordのフォーラム機能を使い、「機能要望」というタグで機能を投稿してもらい、同意する人にはリアクションをつけてもらうという運用で行いました。

例1) NSFW の機能などMastodon独自の機能に関しても要望を集めることができました。

例2) サーバーの管理者の方にも参加いただいたので、独自にカスタマイズしたサーバーへの対応も迅速に行うことができました。

ベータテスターの募集

テスターの募集もDiscord上で行いました。

テスターの方にはテスタ―とわかるように Role を設定して管理することでテスターの方だけに告知するなど簡単に行うことができました。

バグ報告などのフィードバック

バグ報告、機能改善、質問などもDiscordで受け付けています。

機能の優先度と同様にフォーラムとタグ("機能要望"、"バグ報告", "質問")、リアクションを使った管理をしています。

これらのフィードバックは機能要望と合わせて今でも活発に行われています。

Discord のフォーラム活用法

ここで細かくDiscordのフォーラムの活用法について紹介したいと思います。 DiscordのフォーラムはもちろんIssueトラッカーではないので使い勝手に限界があります。

そこでユーザーの方にも色々ご提案いただき、以下のような工夫をしています。

タグを細かく分ける

こんな感じに細かく分けています。これは Discord のフォーラムで検索が少しやりにくいのでタグを細かくすることでフィルタリングしやすくしています。

フォーラムの使い方の説明を記載

初見ではわかりにくいと思いますが、基本的にモデレータがよしなにやってくれるのでご安心ください(モデレータの方、超助かっています。ありがとうございます!!!)。

モデレータの権限の付与

Discordのフォーラムはデフォルトでは他人の投稿を編集したりすることができません。

そのためタイトル、内容、タグの修正は管理者の僕が行うか投稿作成者にお願いして変えてもらうしかありませんでした。

私は可能な限り開発にリソースを割きたいのでこれらの管理作業をするのは非常に大変でした。

そこでユーザーの方からモデレータのお手伝いをしていただけるというありがたい申し出があったので、一部の権限(編集権限)を付与して手伝っていただいています。

これにより、私の負荷が非常に下がって開発に集中することができるようになりました。

とても良かったこと

Discord を使ったコミュニティーを形成してとても良かったことは「ユーザー同士でコミュニケーションを取ってもらえる」ようになったことです。

feather for Twitter の頃は専用の Twitter アカウントをアナウンスやカスタマーサポートの窓口としていました。その結果なのかわかりませんが中央集権的なカスタマーサポートとなりユーザーの増加に応じて無限にカスタマーサポートのコストが上がり続けていました。

これはコベリンのような小さな利益しかあげられていない会社ではfeatherの収益を食いつぶしてしまう悩みのタネでした。

Mastodon版ではDiscordを使いユーザーが集まる場を作るようにしたためかユーザー同士でのコミュニケーションが活発になり、feather の使い方だけではなく Discordの使い方も含めてお互いやり取りしていだけるようになりました。

その結果、カスタマーサポートにかかるコストが下がり開発に集中できるようになりました。ユーザーにとっても素早く問題が解決するので良かったと思います。

この状況は奇しくもMastodonと同じ分散型になったので非常に嬉しく思います。

しりとり

コベリンのDiscordには "しりとり" というチャンネルがあります(どこかのサーバーにあったのを参考に真似させていただきました)。

これはただ単にしりとりをし続けるだけのチャンネルなのですが、定期的に書き込みが行われていてちょっとほっこりするチャンネルです。ぜひお気軽にご参加ください。

feather の開発とは直接関係ないのですが、あるとなんとなく和んでいい気がしたので紹介させていただきました。

まとめ

feather for Mastodon の開発でのDiscordの活用方法を紹介しました。

現在1400人以上のユーザーを抱える大きなサーバーになりました。今でもじわじわとユーザーが増え続けています。

今は私の子育てが始まったことなどもあり開発速度が少し落ちて行っていますが、細く長く開発を続ける予定ですので今後とも feather for Mastodon をよろしくお願いいたします。

こちらはFediverse (2) Advent Calendar 2023の記事です。

adventar.org